伝えようとする気持ち

「日本人は、英語を読めるのに、どうして英語で話したり書いたりしようとしないの?」
2週間ほど日本に滞在し一緒に仕事をしたアメリカ人が、帰り際にそんな素朴な疑問を私に投げかけてきました。

「日本人は、そういうふうに教育をされてきたからだ。」
その時、私はそう答えました。

私たちは学校や塾で、たくさん英語を読み、単語や文法を覚え、問題集と格闘します。
きっと日本人はアメリカ人よりも英語文法のことを勉強して知っているのではないかとすら、私は思います。

けれど英語で話したり、書いて表現したりする「アウトプット」になると、たんに口をつぐんでしまいます。

日本人はシャイだから、などと海外から言われることもあります。

確かにそれも一理あるけれど、もっと大きな理由としては、単に「アウトプット」の教育を十分に受けていないからだと私は思うのです。
だから「アウトプット」に対する恐れのようなものが、私たち日本人にはあるように思います。

間違えてはいけない。
相手に通じなかったら恥ずかしい。

読めることと、話せることはセットだと思っているそのアメリカ人は、
「ふーん、そんなものなのかな」と、不思議そうに聞いていました。
そして最後にこんなことを言ってアメリカに帰って行きました。

「別に下手だってなんだって構わないのに。伝わればいいんだから。
私のフランス語だってひどいけど相手は聞いてくれるようとする。
伝えたい気持ちがあれば、ちゃんと相手に伝わるはず。」

海外の国際会議に通訳として参加している私も、同じ肌感覚を持っています。
伝えたいと思う気持ちがあれば、相手は聞いてくれるはずなのです。
日本人の「英語できない症候群」を解決する方法は、意外と難しくないのでは…と思う私は楽観的過ぎるのでしょうか。

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