「前年比10%」を英語で?

「前年度比10%減少した。」を、皆さんなら英語でどう表現しますか。

単純な一文だけれど、あなどるなかれ。
今回は、金融翻訳者として覚えるべき重要な要素がいっぱい詰まっている一文をご紹介します。

「不良債権の償却は前年と比べ10%強減った。」
Write-offs decreased by slightly more than 10% on the previous year.

よく出てくる言いまわしながら毎回迷うポイントをご紹介します。

■ 前期比はon

「前年と比べ」from the previous yearとfromを使いたくなってしまうけれど、ここはon。

例えば「前年比10%増」は、よくyear-on-yearを使う。
The Company saw a 10% increase on a year-on-year basis.
The Company saw a year-on-year increase of 10%.

■ 増加する/減少する increase by/to/from

数字が増えた減った、というときはby/to/fromの前置詞を忘れないようにする。
特に「前期比X%増加(減少)する」increase/decrease by X%はよく使う。

「2%減少する」decreased by 2%
「10億円に増加する」increased to 1 billion yen

■ 程度を表す「強」「弱」「程度」

このあいまいな表現には翻訳者として悩まされることが多い。
いろいろ表現はあると思うけれど、ここではよく使うものをいくつかリストアップ。
「10%強」slightly more than 10%、just over 10%
「300人程度」around 300 people、some 300 people

■ 不要債権の償却

最後はおまけ。
「(不良債権の)償却」は会計用語で、write offを使うのが一般的。
disposalも場合によってはOK。
動詞はwrite off, 名刺はハイフンを入れてwrite-off。
「償却額」write-offs, the write-off amountなど。
「不良債権」は、「売掛債権」ならbad debts、「貸付債権」ならbad debt loans。

以上、基本的ながら「ちょっと待てよ」と翻訳者が気を付ける英語のご紹介でした。

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