街中に氾濫する政治家ポスター。
あの赤や青の原色系を背景とした、決して美しいとは言えない大きな顔写真と名前しかない貼り紙です。
選挙でもないのに、不自然な笑顔が、家やビルの壁、電柱を埋め尽くしています。
みなさんは気になったことはありませんか?
たぶん空気のように街の至る所にあるので、多くの人は気にも留めないと思います。
私もそうでした。
ところが、あるときお散歩中にふとその存在に気が付きました。
「なんか政治家って嫌な顔をしているな」
「もうちょっと上手に写真を撮れないのかな」
そんなことを思ったのがきっかけです。
そして一度気になると、「あれ、またある」「ここにもある」
次々と政治家ポスターが目に入るではありませんか。
ある人の口癖が気になると、話はそっちのけでそればかりがやたらに気になる、あれと同じような感覚です。
数えてみたら、片道20分のお散歩コースの間に、なんと100枚超もの政治家ポスターを見つけました。
つまり、往復で40分歩く間に、私は200枚の見たくもない顔と名前を繰り返し目にしているのでした。
これは異様ではないでしょうか。
そして私は次のことを疑問に思いました。
これは合法か。
これは公平か。
これは横暴か。
皆さんはどう思いますか。
これは合法か。
ネットでググる限り、どうやら公職選挙法に則り「違法」ではないようです。
政治活動用ポスターは「任期満了日の6カ月前から選挙期日までの間」を除き、掲示することが認められるそうです。
しかし、例えば「任期満了日」とは何のことでしょうか。
そうなのです。
一般人には、公職選挙法の専門用語はわかりにくく、おそらく合法と推察するしかありません。
これは公平か。
たとえ合法だとしても、なぜ政治家だけが街中の至る所にポスターを貼っていいのでしょうか。
政治関連のボランティア活動をしている娘に、この疑問をぶつけてみました。
すると、政治家ポスターは、家主の許可があれば無料で貼ることができると教えてくれました。
これに対して、私たち一般市民はどうでしょうか。
個人のイベントや事業の宣伝ポスターを街中に掲示するのは、とても厳しいルールがあるはずです。
また個人や企業が名前を覚えてもらうには、多額の広告宣伝費をかけるのが一般的です。
これは不公平だ、と私は思います。
1, 2枚、決まったところに貼ってあれば別です。
辺り一面の壁を埋め尽くすように、政治家だけがポスターを無料で貼る権利を持っているのが不公平だと思うのです。
これは横暴か。
私は2つの意味で、政治家ポスターは政治の横暴だと思います。
1つには、見たくもないものを100枚も200枚も毎日見せられるという意味で。
もう1つには、醜いもので街を覆いつくすという意味で。
政治家は、自分や政党を宣伝する権利を持っていると言います。
けれども醜いポスターで街中を埋め尽くすことは、度を越していないでしょうか。
そこまでの権利は政治家にはないはずです。
もっと市民に寄り添い、声を聞き、対話する。
そうです、伝えようとする気持ちです。
そのうえで名前と顔を覚えてもらえばよいのです。
そんな意識を持った政治家が増えてほしいものです。